海外事例 | Data for Me
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海外事例

IoTデバイスから生成されるデータの所有権の問題は、以前書いた記事にあるコネクテッド・カーと同様に議論は尽きません。 IoTデバイス間でのIFTTTのようなデータ共有・コントロールによる連携をユーザーが出来るようになるProtonet社のZOEなどのIoTハブとなる製品や、IoTデバイス間やサービス連携におけるデータコントロールが可能なNeura社のようなSDKを提供するサービスは存在します。 [embed]http://jp.techcrunch.com/2016/01/19/20160118neura/[/embed] IoTデータに限らず、デジタル化された自身のパーソナルデータを管理・共有出来るのが、これから紹介する「HAT:Hub-of-All-Things」です。 個人が自身のパーソナルデータをコントロールする「HAT:Hub-of-All-Things」 [arve url="https://www.youtube.com/watch?v=rf6liT9JHw8" title="Hub-of-all-Things Project" loop="no" muted="no" /] HATは、個人が利用するIoTデバイスから生成されたデータやオンラインサービスのデータなどを、自身が管理し、信頼する第三者への共有までコントロール出来るようにするパーソナルデータ・プラットフォームを提供することによってマルチサイド・マーケットの創造を目指し、英国のウォーリック大学を中心にケンブリッジ大学・エクスター大学などのラッセル・グループ6大学が英国研究会議協議会(RCUK)から120万ポンドの助成を受け、2013年6月に開始した研究プロジェクトです。 マルチサイド・マーケットとは以下3つを指し、パーソナルデータを個人に還元することによって自身での利活用や、個人が信頼する第三者に利活用してもらうことによって、個人に紐づくリッチなパーソナルデータを透明性高く流通させ、個人にも企業にも利益を生み出すプラットフォームを目指しています。 Supply Market:パーソナルデータを個人に供給するテクノロジーの提供。e.g. 個人がデータをHATへ取得しコントロールするためのスマートデバイスの開発。 Use Market:個人がパーソナルデータを自身のために使うサービスの提供。e.g. 個人が保有するデータを自身で有効活用するためのスマートアプリの開発。 Exchange Market:個人が消費・購買行動時に、より良い意思決定をするためのデータエクスチェンジをサポートする仕組みの提供。 このプラットフォームの目的は、生活者側が自身のデータを収集し共有をコントロール出来るようにするというプライバシー保護や消費者権限強化だけではありません。(HATは、企業から還元されたパーソナルデータは個人のものではなく、テクノロジーによって企業がデジタル化した恩恵を受けられているので彼らのものと言及しています。) 一旦個人に戻すことによってデータはリッチになり、そのデータを個人や第三者が最大限有効活用することによって、個人個人の生活の向上はもとより、個人と信頼関係を構築しデータを共有された企業の発展、引いてはそれが経済発展に繋がると考えているからです。 TwitterなどのソーシャルメディアのデータやGoogleでの検索ログ、スーパーなどの実店舗での購買データ・ECサイトでの購買データGPSによるオフライン行動データなどを組み合わせることによって、ユーザーによる生活が一繋ぎに把握出来るようになり、これを企業側がユーザーの同意を得て利用することができれば、企業側が顧客とのエンゲージを高めるための、よりパーソナライズされた新たな方法を構築することが出来るようになるのです。 クラウドファウンディングに成功、そして2016年7月βリリースへ 2015年12月にはαリリースし、開発者向けにAPIドキュメントやサンプルスプリクトなどが公開されました。下記いがのページでは、その他にテクノロジーアーキテクチャのブリーフィングペーパーやDBドキュメントも公開されています。 http://hubofallthings.com/alpha-hat-is-here/ そして2016年2月にはHATを研究フェーズからビジネスに転換させるため、研究チームから譲渡する形でHAT Foundationとしてローンチし、開発や運営はHATDeX (HAT Data Exchange Ltd) が担っています。 同時に2016年7月のβ版リリースに向けて2月からIndiegogoでクラウドファウンディングを実施し、4月8日までに300名弱の支援を受け目標額である5万ポンドを達成しました。日本でも7月1日から利用可能になるようで、私は100ポンド (HAT Associate Membership) 支援しました。(4月15日時点で終了まであと1日ありますので、もしご興味あればユーザーになれる10ポンド~のご支援を是非。) IndiegogoHAT! Claim your data: organise, visualise, control [arve url="https://youtu.be/Li2U-MJsnEA" title="HAT! Claim your data: organise, visualise, control" loop="no" muted="no" /] このキャンペーンの目的は資金調達だけでなく啓蒙活動の一貫と言ってもよく、(Indiegogoなので特に)米国でのソーシャルムーブメントを少しでも起こせたらという考えがあったようで、その結果いくつかのWebメディアに取り上げられたことは、一歩前進したと言って良いのではないでしょうか。 http://www.zdnet.com/article/hat-personal-data-store-allows-you-control-the-data-internet-corporations-have-on-you/ アプリやデバイスにHATを組み込むデベロッパーはHAT platform provider (HPP) となり、ユーザーのプライバシー保護やセキュリティを担保し、HPP間のサービス切り替えを保証しなければなりません。HAT Foundationがこのエコシステム内でHPPに対する監視機関となります。 ユーザーは、「Rumpel」というHyperdata BrowserにPC・モバイル端末からアクセスして「Sun...

クルマから生成されたデータは誰のものなのか?IoTなどのセンシングデータと同様に、その生成されたデータの所有権の在り方は簡単に決まるものではありません。 そんな中、ドライバーの運転データに基づいて保険料を算出する自動車保険であるテレマティクス保険や、ビッグデータとして渋滞情報や危険箇所の情報を割り出すためにプローブデータが活用されたりと、クルマから発生するデータを有効活用したサービスが続々と出てきています。 「スマートドライブ」のような専用デバイスを装着することで自分の運転特性を分析できる消費者向けのサービスも出てきていますが、一方でそれらのサービスで利用されている以上のプライバシー性の高いデータまでメーカー側が取得可能なことはあまり知られていません。 総務省では、電気通信分野に関連するプライバシー保護について検討することを目的として、2015年11月と12月に「改正個人情報保護法等を踏まえたプライバシー保護検討タスクフォース」を開催し、第1回ではKDDI総研さんから「コネクテッドカーにおけるプライバシー保護について」の報告があり、「どのようなデータが存在するのか」「どのような課題があるのか」「何を検討しなければいけないのか」といった情報が少ないスライドでまとめられています。   国際自動車連盟による啓蒙促進キャンペーン「My Car My Data」 2015年11月、国際自動車連盟(FIA)の欧州/中東/アフリカ地区を統括する FIA Region I は、ドライバーのプライバシー権やテレマティクスサービス事業者を選択する自由などについて啓蒙促進するキャンペーン「My Car My Data」を開始しました。 キャンペーンページMy Car My Data https://vimeo.com/82273714   EU では 2018 年 4 月以降に新たに販売される全ての自動車に自動緊急通報システム「eCall」 の搭載が義務付けられるため、FIA Region I は以前から自動車データを利用したテレマティクスサービスにおけるデータ保護を欧州議会に対する働きかけをしていました。 FIA Region I はコネクテッドカーにおいて、EUで2025年までに以下の3つの消費者原則を保証すべきと提唱しています。 データ保護  自動車データへのアクセスに対してユーザーの同意を義務付け、どのようなデータが発生し利用されているかといった情報を得られるようにデータをコントロール可能なプライバシーを保護するフレームワークを提供するべきである。 選択の自由 ドライバーには自身が好きなもしくは必要なサービスレベルのプロバイダーを様々な中から自由に選択する権利があり、メーカーは負荷なくプロバイダーの変更が出来るようにしなければならない。 公平な競争 自動車データは特定のプロバイダーにロックインされることなく、標準化されたオープンでセキュアなプラットフォームを通じてユーザー自身や許諾を得たプロバイダーがデータにアクセスでき、サービスの公平な競争が行われなければならない。 FIA Region I はクルマからどのようなデータがトラッキング及び送信されているのか、ガソリン車と電気自動車で調査を行った結果を公表しました。 トラックされている データ ガソリン車 電気自動車 ドライバー プロファイル ドライビングモード別の使用時間 急ブレーキによりシートベルトが締まった回数 走行回数とkm以上走行した量 ドライビングモード どこでどのようにチャージされたか 自動車の位置 ナビに最後に入力された目的地 過去100箇所の駐車した位置 ドライバーがどこで他の交通手段(電車/バス)に接続したか メンテナンス情報 最大エンジン回転数 走行距離 ライトの状態 バッテリーチャージの質 走行距離 ...

  以前、英国政府による民間企業保有のパーソナルデータの公開・活用を推進するプロジェクト"midata"の記事を書きました。このパーソナルデータ公開・活用を推進する動きは、オープンガバメントの再先進国である米国でも存在しており、それは"Smart Disclosure"という言葉で米国政府から発表されています。 2011年9月に設立され、2013年1月現在で58カ国が加盟するOpen Govermnent Partnership (OGP) では、加盟国は自国のオープンガバメントに関するアクションプランを策定し公開しなければなりません。米国が公開したアクションプランの一部に"Smart Disclosure"という言葉が初めて登場しました。 このSmart Disclosureは、英国のmidataより広範囲にフォーカスを当てた取り組みとなっており、民間企業保有のパーソナルデータ(トランザクションデータ)に限らず、公的機関保有のパーソナルデータや民間企業が提供する製品・サービスの詳細情報まで含まれます。要するに、消費者がより良い選択ができるようになるために必要なデータが対象になっています。 Smart Disclosureは以下の4つのカテゴリーに分類されており、これらのデータを活用したサービスを米国政府は"Choice Engine"と呼んでいます。 政府による、製品やサービスに関するデータの公開Department of Health and Human Services (保健社会福祉省) はMedicare.govにて病院の評価を公開。Department of Education (教育省) はCollege Navigatorで学生向けに7,000以上の教育機関情報を公開。 政府による、国民へのパーソナルデータの公開Department of Veterans Affairs(退役軍人省)は、退役軍人が各々の医療記録をダウンロードできるサービスBlue Buttonを提供。 民間企業による、製品やサービスに関するデータの公開BillShrinkやHello Walletなどのサービスに利用され、各サービス情報と個人利用状況から最適なプランやクレジットカードなどをレコメンドしてくれる。 民間企業による、国民へのパーソナルデータの公開電気やガスなどのエネルギー関連企業が参加しているGreen  Buttonは、個人がエネルギー使用情報をダウンロードでき、OpenEIで公開されているアプリケーションを利用して分析することができる。また、各クレジット会社や銀行がトランザクションデータにアクセス可能にし、MintなどのPersonal Finance Management (PFM)に利用されている。   世界経済フォーラム (World Economic Forum) でも"Rethinking Personal Data"というプロジェクトで2010年からパーソナルデータについて議論されており、2011年1月にはパーソナルデータについて「新たな資産カテゴリーの出現」と題したレポートを発表しています。 その後、midataやSmart Disclosureのように国としてパーソナルデータの公開・活用を推進する動きが起こりましたが、2013年は更にこの動きが活発になり、徐々に国民にも知れ渡って行くフェーズに移ると考えています。 Harverd Business Reviewでは先日、"Smarter Information, Smarter Consumers"と題した長編の特集記事を公開し、Smart Disclosureによってどのように消費者の生活が変わるのかを詳細に説明しています。 主題の下に書かれているメッセージが、その期待度を伺わせます。 Changes in technology...

  今日各メディアから「Twitterがユーザー個人の全ツイートデータをダウンロードの受付を開始した」といったようなニュースが大々的に報じられています。しかし、この公開にはただ単にFacebookやGoogleが公開しているからという単純な話ではありません。それではどのような背景があるのでしょうか。   2009年のTEDにて、World Wide Webの生みの親であるティム・バーナーズ=リー氏が以下の言葉を声高に叫んだのはとても衝撃的でした。 Raw Data Now! (生のデータを、今すぐに!)[下動画の10分以降] 政府が公共データをオープンにすれば、そして企業が個人に紐づくパーソナルデータをオープンにすれば、Linked Dataとマッシュアップによって、様々な可能性が生まれるという主張をしました。政府や企業はデータベースの囲い込み(database hagging)を行い、そのデータを独占して活用してきていることへの批判でした。   そして翌年の2010年、ティム・バーナーズ=リー氏は再度TEDにて登壇し、徐々に出始めていたオープンデータ活用事例を紹介し、その可能性の一片を私達に示してくれました。 このように、この民間企業が保有するパーソナルデータの公開が行われ始めた背景には、ティム・バーナーズ=リー氏の貢献度がとてつもなく大きいのです。 2012年4月に行われた英Guardianとのインタビューでも、FacebookやGoogleなどからデータを取り戻せ(get it back)と言っており、『オープンインターネット』(インンターネットはオープンであるべき)を提唱し、まずはネット業界からのパーソナルデータ公開を訴えていました。(Wired日本版の記事はこちら) ティム・バーナーズ=リー氏は、もちろんオープンデータの推進にも力を入れており、今月7日に正式にローンチした英国政府機関でオープンデータビジネスを推進するOpen Data Institute(ODI)の創設者の一人でもあります。オープンデータの公開度を5段階に定めたのも彼です。   もう一つ関連することで、Techchrunchに「ダウンロード可能となるTwitter全発言データの使い方 ― パーティーはこれからだ!」という記事が書かれました。 今後続々と出てくるであろうこのTwitterなどのパーソナルデータを活用するサービスが、まさしく、前回の記事にも出てきたDoc Searls氏が提唱する”4th Party”なのです。 恐らく、Twitterデータだけではそれほど斬新なアイデアは出てこないでしょう。しかし、ここに例えば”個人の購買データ”が紐付けることができればどうでしょうか。 先述のODIが先月開催した、パーソナルデータ活用ハッカソンであるmidata Hackathon 2012の中では、ソーシャルメディアデータと購買データを紐付けた分析事例が発表され、どのような購買行動を起こした時にソーシャルメディア上での感情がポジティブになるかという分析がされました。(とある方のデータでは、20ポンド以上のモイスチャークリームもしくは自動車用のガジェットを購入した時、という結果が出たそうです。) 確実に個人個人で感情がポジティブに働く行動は異なるでしょう。しかしながらこれまでCRM分析の中では、個人個人は収集・分析されて抽出された多数のセグメントの一つに分類され、レコメンドやプロモーションを一方的に受けている状態になっています。 まずはネット企業からパーソナルデータが始まっていますが、今後何年かかるかわかりませんが、徐々に英国と同じようにインフラ企業やクレジット企業などから公開されて来るのではないでしょうか。まずは海外でのネット企業以外からいつ・どのような事例が出てくるのかに注目です。]]> ...

前回投稿のパーソナルデータに関する記事は多くの方に読んでいただくことができました。今回はパーソナルデータの続編として更に踏み込み、前記事では紹介出来なかった消費者主導でCRMと反対の概念であるVRM(Vendor Relationship Management)と、それを実現するためにパーソナルデータの流通を個人がコントロールできるツールのPDS(Personal Data Store)についてご紹介します。 11月29日、日本経済新聞に「民間の個人情報売買解禁へ 政府、新事業創出を後押し」という記事が掲載されました。企業が保有するパーソナルデータを”匿名化”した上で(個人情報ではなくなり)売買することができるというルール作りを来年度以降行い、個人情報保護法の改正を行う、というインパクトの大きい記事でした。 実際にはこの記事は誤報で、ガイドライン策定(ルール作り)は行うが、法改正については検討にも至っていないとのことでしたが。 何にせよ、経済界にとっては大きな期待があると思いますが、この企業間でのパーソナルデータの売買には、個人情報保護やセキュリティの観点とは別に2つのデメリットがあります。 一つ目は”パーソナルデータの流通制御が出来ない”ことです。匿名化されているとはいえ、自分のデータがどこに流れどのように活用されているか見えないことは大きな不安になるでしょう。個人は、各々のパーソナルデータの流通(どのデータをどの第三者に提供するか)をコントロールすることができません。 二つ目のデメリットは、”ユニークIDで複数データソースの紐付けが出来ない”ことです。企業間でパーソナルデータを売買するということは、それぞれの企業が管理しているIDが個人識別コードとなるので、個人がOpenIDで対応した複数サービスを利用していない限り、それぞれの企業のデータを紐づけることが出来ないのです。 上記二つのデメリットですが、海外では既に解消するための動きが存在します。そのキーワードになるのが、最初に提示した”VRM”と”PDS”です。 "VRM(Vendor Relationship Management)"とは? CRMやSocial CRMは既に一般的な言葉ですが、VRMという言葉はこれまで聞いたことがない人がほとんでしょう。もしかすると、TechChrunchを読まれている方であればご記憶にあるかもしれません。 オープンソース擁護者でジャーナリストのDoc Searls氏が執筆し今年5月に発売された”The Intention Economy”に関する記事の「あのDoc Searlsが「注意の経済」から「意思の経済」への大転換を説く」です。 Attention EconomyからIntention Economyへの転換とは、これまで売り手側がビッグデータを解析して顧客の心理や行動を推定し、一方的に広告やプロモーションで買い手に注意を引き起こす経済から、買い手が個々のパーソナルデータ(=スモールデータ)の流通を管理し、買い手が中心となって売り手との関係を構築する経済に移行していく、ということです。 その買い手が主導で、売り手との関係構築を実現するのが”VRM”と呼ばれるものです。 Doc Searls氏は自身が中心となり、2006年にハーバード大学院のthe Berkman Center for Internet & SocietyでProjectVRMというプロジェクトを開始しており、6年経った今年、満を持しての出版となっています。ブログはこちら。 CRM、Social CRM、VRMの違いについてはGartner Customer 360 Summit 2010で発表された4象限の図が分かりやすいかもしれません。 VRMを実現するツール"PDS(Personal Data Store)"とは? ProjectVRMと同じように、消費者個人がパーソナルデータをコントロールできるようにという考えから、2010年に設立されたのがPersonal Data Ecosystem Consortiumです。 このコンソーシアムには、世界中からPDS(Personal Data Store)サービスを提供する30以上ものスタートアップが参加しており、この中には前回の記事にも登場した英国のmidataプロジェクトに参画しているMydexも含まれています。他に良く目にする名前としてはpersonalやKynetx、Singlyでしょうか。 これらのPDSを提供する組織・人のことを、Doc Searls氏は著書の中で"4th Party"と呼んでいます。サードパーティという言葉は良く聞くと思いますが、この第4者団体とはどういう立場なのかを説明しているのがこちらの記事です。要するに、3rd Partyは消費者から見るとベンダー側の立場であり、4th Partyは消費者側に立った団体となります。 それでは、PDSとはどういうツールなのか?という話に入っていきます。 実は4th Partyが提供するツールのことはPersonal Data Storeだけでなく、Personal Dataに続く単語がServiceやVault、Locker、Cloudなど多く存在していますが、恐らく最も利用されている言葉がStoreなので、とりあえずはPersonal Data Storeとしてこの記事では紹介しています。 この記事の最初の方で、企業間(B2B)でのパーソナルデータの売買には2つのデメリットがあると指摘しました。”パーソナルデータの流通制御が出来ない”ことと、”ユニークIDで複数データソースの紐付けが出来ない”ことです。これらを解決するのがPDSです。 システム的・技術的なことを抜きに、とてつもなく簡単に説明すると下図のようになります。 現状では、企業間で匿名化されたパーソナルデータが勝手に売買や提供がなされるため、消費者は自分のデータがどこに渡ってどのように使われているのかを知ることはできません。 しかしながら、企業間に消費者とPDSが入ることによって、企業が保有するパーソナルデータがまずは個人に戻され、それらを分析できることはもちろんですが、そこから更に提供したいVendorとそこにどのデータを提供するのかをコントロール(アクセス権の付与)することができるようになります。もちろんそれらは個人IDで紐付けがされているため、B2Bでの2つのデメリットを解消することができます。 更にPDSの機能の一つに、パーソナルデータを個人間(P2P)でシェアするPDX(Personal Data Exchange)というものもありますが、それはまた別の機会に。 今後、PDSの市場はどのようになっていくのか 上記に出てきたPDSのスタートアップの一つであるMydexの設立者であるWilliam Heath氏は、パーソナルデータに関するコンサルティングとマーケティング会社であるCtrl-Shiftの設立者でもあります。 そのCtrl-Shift社が2012年4月に、英国におけるPDSの市場調査レポートを発表しました。そのレポートによると、2016年には10億ポンドまで成長するのではと書かれています。 PDS市場が成長するためのキーとなるのが、「consumers(消費者)」「corporates(組織)」「entrepreneurs(起業家)」「technology(テクノロジー)」「legislation(法律)」の5つとなっており、これらのうち一つでも欠けるとPDSの市場が成長することはできません。 消費者がその利便性を知り、データを提供する組織がデータを戻すことによって得られるメリットを知り、PDSツールを提供する企業と投資家が集まり、「M2M」や「Internet...

あなた自身の日々の購買データやサービス利用データを自由にダウンロードでき、それらを統合し分析できる時代が来るかもしれないとしたら、皆さんはどのように考えますか? 実は、そう遠くない将来に日本でも実現する可能性があるのです。 今月始め、総務省が第1回「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」を開催しました。総務省といえば、7月の「オープンデータ流通推進コンソーシアム」設立や12月に「オープンデータシンポジウム」の開催を予定しているなど、日本のオープンデータ戦略推進を最もリードしている行政機関の一つです。 「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」の目的は、”個人に関する大量の情報が集積・利用されることによる個人情報・プライバシー保護の観点と、保護できた上でのネットワーク上での利用・流通の促進に向けた方策の検討”となっています。 公開されている資料などには、最初に書いたような具体的なことは全く書かれていませんが、”利用・流通”というキーワードから、オープンデータ先進国であるイギリスで進められている”midita initiative”と同様の動きになる可能性もあるのでは!?と思ったわけです。 オープンデータ先進国イギリス政府が進める"midata"とは? イギリスは、Open Knowledge Foundationなどの民間からの働きかけや政治的リーダーシップにより、欧州の中で最もオープンデータ活用が進んでいる国の一つです。 そもそもオープンデータは、狭義にはオープン化された公共データを意味することもありますが、Open Knowledge Foundationが今年2月に公開したOpen Data Handbookでの”Openの定義”は以下3つになっています。 (望ましいのは)インターネット経由でダウンロードでき、再作成に必要以上のコストがかかってはいけない。また、データは使いやすく変更可能な形式であること。  他のデータセットと組み合わせての再利用や再配布ができること。  “誰もが”利用、再利用、再配布ができること。データの使い道、人種、所属団体などで差別をしてはいけない。例えば「非営利目的での利用に限る」という制限や「教育目的での利用に限る」などの制限も許されない。 よって、広義には民間企業が機械識別可能な形式で再利用可能なデータをインターネット経由で公開すれば、それもオープンデータと言えます。 日本での例としては、Excelファイルではありますが博報堂が今年9月にに公開した、生活者意識の定点観測調査「生活定点」データも、完全にではないですがオープンデータと言うことができるのではないでしょうか。 ”open by default”のポリシーが根付いているイギリスでは、民間企業保有データのオープン化に関する戦略が国家レベルで検討されています。 イギリスの行政機関の一つであるBIS(Department for Business, Innovation and Skills)は2011年4月、消費者がより良い選択・取引を行えれば長期的に経済が成長するという考えのもと、Consumer Empowerment Strategyを発表し、4つのセクションの一つ「The Power of Information」の中で、消費者が民間企業の持つ各自のデータ(いわゆるパーソナルデータ)に自由にアクセスしコントロールできるようにと"midata"(マイデータと読む)というプロジェクトが発足しました。 要するに、企業はユーザーの情報を分析し購買行動パターンなどを導き出し、そこから最終的に利益を生み出しているのですから、消費者もそのデータに自由にアクセス出来るようになれば最適な消費活動(例えば携帯料金プランの再検討)ができるようになる、ということなのです。 実はイギリスのデータ保護規制では、消費者が企業保有のパーソナルデータへのアクセスを要求する権利が法的に認められていますが、国民の認知率も高くなく法的拘束力も低いのが現状となっています。 midataプロジェクトには民間企業もパートナーとして参加しており、Goolge、クレジットカードのVisaとMasterCard、ガス会社のBritish Gas、電力会社のEDF Energy、保険のLloyds、携帯キャリアのThreeなど様々な業態の企業や組織がこの取り組みをサポートしています。 "midata"によってどのような未来がやってくるのか イギリス最大で世界第3位(ウォルマート、カルフールに次いで)の小売り企業であるTescoは1,600万人もの会員データを持っていますが、その購買データをショッパーデータ分析のdunnhumbyに売って利益を得ている、という記事が書かれました。 実際には、消費者はデータを収集される代わりにポイントやクーポンという形で還元されているわけですが、そのデータはdunnhumbyを通して匿名化された形ではありますがメーカー企業に販売されている事実は確かにあるわけです。 そんな問題も指摘されていたTescoは今年10月、会員が自分の購買データに自由にアクセス出来るように公開するという"Clubcard Play"という計画を発表しました。 詳細はまだ公開されていませんが、ゲーミフィケーションを取り入れたり、メーカー企業とのコミュニケーションが出来るようなメディアにする計画など、データを公開することによって消費者とのエンゲージメントを高める施策を検討しているそうです。このプロジェクトで働く人材も募集しているなど、今後の動きには注目です。 しかしながら、もちろんサイト上で購買データを自由に閲覧できることも大事ですが、イギリス政府が目指しているのは、各民間企業が機械式別可能なデータを”ダウンロード”できれば、それらを統合し消費行動全体を俯瞰し分析することができ、最終的な国民生活の向上と経済の成長なのです。 恐らく個人でこれらのデータを統合・分析することはできないので、第3者(サードパーティ)の分析プラットフォームへのアップロードが必要になるため、セキュリティ保護をどのようにするのか、ということが最大の問題として議論されています。 日本の総務省による「パーソナルデータの利用・流通に関する研究会」での論議の中でも、今後midataの取り組みが登場してくるのではないでしょうか。 イギリス政府はオープンデータを活用したビジネス(いわゆるオープンデータビジネス)を活性化させるための組織であるODI(Open Data Institute)を2011年11月に設立し、今月にはこのmidataを推進するためのハッカソンである"Midata Hackathon 2012"を開催しました。こちらにどのような案が出てきたかの紹介があります。   「ライフログ」という言葉を良く聞くようになりましたが、個人で収集可能なデータは限られており、購買データなどを分析可能な形式に変換することは非常に手間であり困難となっています。 もし、それぞれの企業が購買データやサービス利用データなどのパーソナルデータを自由にダウンロードできるように、もしくはAPIという形でデータを取得できるようになれば、"真のライフログ"が完成するのではないでしょうか。]]> ...